みなさんはZoomの「ブレイクアウトルーム」を知っていますか。
ブレイクアウトルームを利用すれば、オンライン授業や社内会議、研修、ハイブリッドイベントなどで参加者を少人数のグループに分け、対話やグループワークを進めやすくできます。
一方で、事前割り当ての方法やミーティング中のルーム作成、ホスト側の細かな設定がわかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
2024年以降、Zoomのクライアントアプリは「Zoom Workplace」としてリブランドされ、画面構成も一部変更されています。ブレイクアウトルームのボタンがツールバー上に見当たらない場合は、「詳細」または「…」メニュー内に格納されていることがあります。
本記事では、Zoomブレイクアウトルームの基本、設定方法、事前割り当て、ミーティング中の操作、便利な機能、AI要約や録画に関する注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
ブレイクアウトルームは、Zoomのミーティングや一部のウェビナーで、参加者を複数の小部屋に分けられる機能です。
大人数のままでは発言しづらい場面でも、少人数に分かれることで参加者同士が話しやすくなり、グループ討議やワークショップ、ネットワーキングを進めやすくなります。
基本的にはホストがルーム作成や割り当てを管理しますが、参加者は割り当てられたルーム内で通常のZoomミーティングと同じようにマイク、カメラ、チャット、画面共有などを使って会話できます。
また、ZoomとCiscoの連携により「Zoom for Cisco Rooms」も提供され、Cisco製の会議室端末からZoom機能を利用しやすくなっています。会議室にいる参加者とオンライン参加者が混在するハイブリッド会議でも、ブレイクアウトを活用しやすい環境が整いつつあります。
ブレイクアウトルームは、次のような場面で特に役立ちます。
国内でも、企業研修や教育現場での利用が日常化しています。講義を聞くだけの時間と、少人数で話し合う時間を組み合わせることで、受講者を受動的な聞き手から能動的な参加者へ引き込みやすくなります。
大規模イベントでの活用も広がっています。たとえばシェアリングエコノミー協会主催の「SHARE SUMMIT 2025」では、現地とオンラインを合わせた数千名規模の参加者を対象に、質疑応答やネットワーキングの場としてブレイクアウトルームが活用されました。大人数のウェビナーを一方向の配信で終わらせず、テーマ別の小部屋に分けて対話を促す運用は、国内イベントでも定着しつつあります。
海外でも、Zoomを活用した大規模研修やイベントの事例が増えています。GEヘルスケアでは医療技師向けの継続教育ウェビナーを実施し、インドネシア農業省では全国規模の遠隔研修を通じて多数の農業指導員へ知識を届けています。地理的・時間的な制約を超えて学習機会を広げるうえで、ブレイクアウトルームを含む双方向型のオンライン運用は重要な役割を担っています。
ブレイクアウトルームのメリットは大きく3つあります。
オンライン上のコミュニケーションで重要なポイントなので、順番に確認していきましょう。
大人数の会議やウェビナーでは、どうしても一部の人だけが発言し、ほかの参加者は聞くだけになりがちです。
ブレイクアウトルームで少人数に分かれると、参加者がマイクやカメラをオンにしやすくなり、発言のハードルが下がります。新人研修、授業、ワークショップなどでは、全員に発言機会を作りやすいことが大きなメリットです。
大人数で一斉に議論すると、話が広がりすぎたり、意見を整理しづらくなったりします。
ブレイクアウトルームでグループを分け、あらかじめテーマと制限時間を設定しておくと、参加者は自分の役割を意識しやすくなります。グループごとに意見をまとめたうえでメインルームに戻り、代表者が発表する流れにすれば、全体共有もスムーズです。
海外のイベント運営では、長時間の一方向配信ではなく、15〜20分程度の講演とブレイクアウト討議を組み合わせる構成もよく使われています。短いインプットと少人数でのアウトプットを繰り返すことで、参加者の集中力とエンゲージメントを維持しやすくなります。
グループ発表の内容を整理する際は、Zoomのホワイトボードや共有ドキュメントを併用すると便利です。各ルームで書記役を決めてメモを残してもらうと、メインルームに戻った後の共有時間を短縮できます。
ホストや共同ホストは、ブレイクアウトルームを作成し、参加者を割り当て、各ルームを巡回できます。議論が止まっているグループに声をかけたり、質問に対応したりできるため、複数の小グループを一つのミーティング内で管理できます。
別々のZoom URLを複数用意する必要がなく、参加者もメインルームとブレイクアウトルームを同じセッション内で移動できます。共同ホストを設定しておけば、複数名でルーム管理や参加者対応を分担できるため、大規模研修やイベントでも運営しやすくなります。
なお、ブレイクアウトルームのタイマーは、開始後に設定時間そのものを柔軟に延長できない場合があります。時間は余裕を持って設定し、必要に応じてホストが手動で終了タイミングを調整する運用がおすすめです。タイマー終了時にすぐ強制終了させるのではなく、全体の進行状況を見ながら継続や終了を判断できるようにしておくと安心です。
Zoomには生成AI機能「AI Companion」が用意されており、メインセッションでは要約やアクション項目の整理に活用できます。しかし、ブレイクアウトルーム内ではAI Companionによる自動要約は利用できません。
また、ブレイクアウトルーム内の内容はクラウド録画の対象外です。記録を残したい場合は、ミーティング形式であればホストがローカル録画を許可し、各ルームの担当者に録画してもらう方法があります。ただし、ウェビナー形式のブレイクアウトでは参加者によるローカル録画がサポートされない場合があるため、書記役を決めて議事メモを残す運用が現実的です。
AI要約を使いたい場合は、ブレイクアウト終了後にメインルームへ戻り、各ルームの代表者が要点を発表する流れにしましょう。その全体共有部分をAI Companionに要約させれば、ブレイクアウト中の人間による議論と、メインルームでのAIによる整理を組み合わせられます。
ブレイクアウトルーム自体は無料プランでも利用できます。ただし、ビジネス用途や研修、イベントで本格的に活用する場合は、有料版のほうが運用しやすい場面が多くなります。
| 有料版 | 無料版 | |
| 参加人数の上限 | 100名〜最大1000人以上(プラン・アドオンに依存) | 最大100人 |
| 開催時間 | プランに応じて長時間開催が可能 | 1回40分の制限あり |
| 録画 | 通常のミーティングはクラウド保存が可能 | ローカル保存のみ |
| 共同ホスト | 設定可能 | 利用条件に制限あり |
無料版は参加上限が最大100名で、40分の時間制限があります。ブレイクアウトルームを使ったワークショップや研修では、説明、グループ討議、発表、質疑応答を行うと40分を超えやすいため、長時間の運用には有料版が向いています。
有料版では共同ホストを設定しやすく、大規模なブレイクアウト運営を複数人で分担できます。ただし、通常のミーティングでクラウド録画が使えるプランでも、ブレイクアウトルーム内はクラウド録画の対象外である点には注意してください。
ここからは、ブレイクアウトルームの作り方と設定方法を紹介します。
ルームを使うには、事前にZoomの設定でブレイクアウトルームを有効にしておく必要があります。
Zoom Workplaceへの移行後は、バージョンによって画面表示やボタンの位置が異なる場合があります。ホスト、共同ホスト、参加者ともに、できるだけ最新のZoomアプリを利用しましょう。古いバージョンでは一部機能が表示されなかったり、不具合の影響を受けたりする可能性があります。実務では、少なくともZoomが案内する必要バージョン以上、可能であればv7.x系など新しいバージョンへの更新をおすすめします。

ホストとしてミーティングを開く場合は、Zoomにサインインする必要があります。
ZoomのWebポータルにアクセスし、画面右上の「サインイン」をクリックします。

サインインできたら、画面左のメニューから「設定」をクリックします。

設定画面で「ミーティングにて(詳細)」を開き、ブレイクアウトルームの項目を有効にします。
この設定を有効にしておかないと、ミーティング中にブレイクアウトルームを使えなかったり、スケジュール作成時に事前割り当てを設定できなかったりします。
企業や学校などの組織アカウントを利用している場合、管理者がブレイクアウトルーム機能を無効化またはロックしていることがあります。その場合はユーザー自身で変更できないため、社内のIT管理者やZoom管理者に確認してください。
詳細設定が済んだら、ミーティングを作成します。

左のメニューから「ミーティング」を選択し、画面右上の「ミーティングをスケジューリングする」をクリックします。

トピック、開催日時、所要時間、パスコードなどを設定します。

目的に合わせてビデオのオン・オフやセキュリティ、待機室などのオプションを設定します。
設定が終わったら「保存」をクリックして完了です。
ブレイクアウトルームの割り当て方法は、大きく分けて「事前に割り当てる方法」と「ミーティング中に割り当てる方法」の2つです。
参加者リストが事前に決まっている研修や授業では事前割り当てが便利です。一方、当日の出席状況を見ながら柔軟に分けたい場合は、ミーティング中に手動または自動で割り当てる方法が向いています。

ミーティングの編集ページで「オプション」を開き、「ブレイクアウトルーム事前割り当て」を選択します。

「+ルーム作成」をクリックします。

「Rooms」の隣の「+」をクリックすると、ルームを追加できます。

「Room1」の隣の鉛筆マークをクリックすると、ルーム名を変更できます。

ルーム名の下に参加者のメールアドレスを入力すると、その参加者を指定したルームに割り当てられます。
最後に「保存」を押して完了です。
事前割り当ては、参加者がZoomアカウントにサインインして参加する場合に安定して機能します。外部参加者が多い場合や、当日の参加名が事前情報と異なる場合は、開始後にホストが手動で調整できるよう準備しておきましょう。
次に、ミーティング中にブレイクアウトルームを作成して割り当てる方法を紹介します。
Zoom Workplaceでは、ブレイクアウトルームのボタンが画面下部のツールバーに表示される場合と、「詳細」または「…」メニューの中に表示される場合があります。見つからないときは、まず「詳細」メニューを確認してください。

ミーティング中の画面下部にある「ブレイクアウトルーム」または「詳細」内のブレイクアウトルームをクリックします。

作成する部屋の数を選び、「手動で割り当てる」をクリックします。

「割り当て」をクリックすると参加者の一覧が表示されるので、各参加者を任意のルームへ割り当てます。
割り当てが終わったら「すべてのルームを開ける」をクリックして開始します。

画面下部の「ブレイクアウトルーム」または「詳細」内のブレイクアウトルームをクリックします。

作成する部屋の数を選び、「自動で割り当てる」をクリックします。
Zoomが参加者を自動で振り分けるので、内容を確認して「すべてのルームを開ける」をクリックしましょう。
テーマ別の交流会やネットワーキングでは、参加者自身が入りたいルームを選べる「セルフセレクト」機能が便利です。
ホストが複数のルームを作成し、「参加者によるルーム選択を許可」することで、参加者は興味のあるテーマや話したい相手に合わせてルームを選択できます。参加者主体のイベントにしたい場合や、懇親会をオンラインで行う場合に向いています。
研修やワークショップでは、1回目は自己紹介、2回目は課題討議、3回目は発表準備というように、複数回ブレイクアウトを行うことがあります。
この場合は、各ラウンドの目的、時間、グループ分けを事前に設計しておくことが重要です。参加者を完全に入れ替えるのか、同じグループで継続するのかを決めておくと、当日の進行がスムーズになります。利用しているZoomのバージョンやアカウント設定によっては、進行中に次の割り当てを準備できる場合もあるため、事前にリハーサルで確認しておきましょう。
待機室を利用している場合、参加者を入室させるタイミングとブレイクアウトへの割り当てを整理しておくと、開始直後の混乱を防げます。
Zoomでは、待機室にいる参加者をブレイクアウトルームへ割り当てておき、入室後に各ルームへ案内する運用も可能です。大規模研修や面談会のように、メインルームを経由せず小部屋へ誘導したい場合に便利です。
途中参加者がいる場合は、自動割り当てに任せるか、ホストや共同ホストが手動で空いているルームへ割り当てます。イベントでは、途中参加者対応用の共同ホストを1名置いておくと安心です。
ホストはオプションや機能を使って、ブレイクアウトルームをより効率よく運営できます。
ホストが許可すると、参加者は自分でブレイクアウトルームを選択し、必要に応じて移動できます。
テーマ別の相談会、採用イベント、オンライン懇親会、カンファレンスのネットワーキングなどでは、参加者が興味のある部屋に自発的に入れるため、交流が生まれやすくなります。
カウントダウンタイマーは、ブレイクアウトルームを閉じる操作をした後、参加者がメインルームへ戻るまでの猶予時間を表示する機能です。
話の途中で突然切り替わるのを防ぎ、最後のまとめや移動準備の時間を作れます。通常は30秒〜60秒程度に設定すると、進行を止めすぎずに切り替えられます。
ホストは、すべてのブレイクアウトルームにテキストメッセージを一斉送信できます。「残り5分です」「発表者を決めてください」などの案内を全ルームに同時に届けられるため、時間管理に役立ちます。
また、Zoomではホストの音声をすべてのブレイクアウトルームへ一斉に届ける機能も利用できます。テキストだけでは気づかれにくい重要な案内や、終了前のアナウンスに便利です。
ブレイクアウトルーム内で参加者が困ったときは、「ヘルプ」ボタンからホストを呼び出せます。
ホストは呼び出しを受けたルームに入り、操作方法の説明や議論のサポートを行えます。研修や授業では、参加者にあらかじめヘルプボタンの使い方を説明しておくと安心です。
ホストは、自分の画面をすべてのブレイクアウトルームへ同時に共有できます。
共通の課題文、タイマー、説明スライド、作業手順などを全グループに見せながら進行できるため、研修やワークショップで特に便利です。参加者が各ルームで別々の作業をしていても、ホストから全体へ同じ情報を届けられます。
大人数のイベントでは、ホスト1人ですべてのルームを管理するのは大変です。共同ホストを設定し、各担当者が複数のルームを巡回する体制にすると、質問対応やトラブル対応がスムーズになります。
共同ホストには、担当ルーム、巡回タイミング、参加者からの質問対応ルールを事前に共有しておきましょう。運営側でチャットや別ツールを用意しておくと、ホスト間の連携もしやすくなります。
Zoom Eventsなどを利用する大規模イベントでは、ロビー、複数セッション、登壇者向けの控室機能などとブレイクアウトルームを組み合わせることで、参加者体験を高められます。
たとえば、全体講演の後にテーマ別ブレイクアウトを行い、最後にメインルームへ戻って各ルームの代表者が共有する流れにすると、全体の一体感を保ちながら双方向の交流を生み出せます。
ブレイクアウトルームは機能をオンにするだけでなく、事前設計が重要です。以下のポイントを押さえておくと、当日の進行が安定します。
特にオンラインイベントでは、長い講演を続けるよりも、短い説明とブレイクアウトを組み合わせたほうが参加者の集中力を保ちやすくなります。参加者が自分の言葉で話す時間を設けることで、満足度や学習効果も高まりやすくなります。
ブレイクアウトルームを使いこなせば、大人数のオンラインミーティングでも参加者一人ひとりが発言しやすくなり、会議や研修、イベントの質を高められます。
Zoomを利用する際は、事前準備と運用ルールを整えたうえで、ぜひブレイクアウトルームを活用してみてください。
Zoomの全体的な使い方についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
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