みなさんはZoomの「ブレイクアウトルーム」を知っていますか。
ブレイクアウトルームを利用すると、オンライン会議や授業、社内研修、イベントの参加者を少人数のグループに分け、対話やグループワークを進めやすくできます。全体説明の後に小グループで話し合い、再び全体へ集まって成果を共有する、といった進行に適した機能です。
Zoomのクライアントアプリは「Zoom Workplace」として提供されています。現行版では、ブレイクアウトルームの操作画面がミーティング画面右側のパネルに表示される場合があり、必要に応じて別ウィンドウとして切り離すこともできます。ボタンが見当たらない場合は、画面下部の「詳細」または「…」メニューも確認しましょう。
重要な会議や外部参加者を含む研修では、ホスト、共同ホスト、運営担当者のZoom Workplaceアプリを事前に更新してください。特にWindows版では重大な脆弱性の修正が公表されているため、企業管理端末ではIT管理者が配信するバージョンと更新時期も確認し、本番前日までに接続テストを済ませることをおすすめします。
本記事では、Zoomブレイクアウトルームの基本仕様、設定・作成方法、参加者の割り当て方、便利な機能、録画やZoom AIのミーティング要約(旧AI Companion)を利用する際の注意点を解説します。
ブレイクアウトルームは、Zoomミーティングや、対応ライセンスを利用したZoomウェビナーで、参加者を複数の小部屋に分けられる機能です。
大人数のままでは発言しづらい場面でも、少人数に分かれることで参加者同士が話しやすくなります。グループ討議、ワークショップ、テーマ別相談会、ネットワーキングなど、双方向のコミュニケーションを促したい場面で役立ちます。
参加者は、割り当てられたルーム内でマイク、カメラ、チャット、画面共有などを使って通常のZoomミーティングと同様に会話できます。ホストは必要に応じて各ルームを巡回し、質問対応や進行支援を行えます。
ただし、ブレイクアウトルームへの参加と、ルームの作成・割り当て・管理では対応端末が異なります。スマートフォンや一部のSIP/H.323会議室端末からルームに参加できても、管理機能には制限があります。運営担当者は原則としてデスクトップアプリ、または対応するウェブクライアントを利用し、会議室端末を使う場合は本番前に移動、音声、画面共有を確認しましょう。
講演を中心に参加者が主に視聴するイベントにはZoom Webinarsが向いています。一方、参加者同士の対話、ロールプレイ、相互フィードバックを重視する研修や、全員のカメラ・マイク利用を前提とする場面では、Zoom Meetingsを優先するのが基本です。参加条件として「原則ビデオオン」「マイクを使用できる環境」「1人1台で参加」などを設ける場合は、申込ページと案内メールの両方に明記しましょう。
分科会形式のイベントでは、参加者自身にルームを選ばせる運用も可能です。テーマ別のブレイクアウトルームを同時開催し、参加者が希望する発表や相談会へ入室する形式にすると、主体的な参加を促せます。ルーム名は「ルーム1」ではなくテーマ名や登壇者名にし、開始・終了時刻をそろえ、事前にテーマ一覧を示すと参加者が迷いにくくなります。自由選択式では人気テーマへの偏りも想定し、定員や代替ルームを準備しましょう。
海外拠点を含む研修では、Zoomの音声翻訳や翻訳字幕も選択肢になります。ただし、契約アドオン、対応言語、参加者のクライアント環境によって利用条件が異なります。ブレイクアウトルームを含む本番と同じ構成で事前テストを行い、利用できない場合に備えて各ルームへバイリンガルの進行役を配置すると安心です。
大人数の会議やウェビナーでは、一部の人だけが発言し、ほかの参加者は聞くだけになりがちです。ブレイクアウトルームで少人数に分かれると、参加者がマイクやカメラをオンにしやすくなり、発言の心理的なハードルを下げられます。
新人研修、授業、ワークショップでは、全員に発言機会を作りやすくなる点が大きなメリットです。
大人数で一斉に議論すると、話題が広がりすぎたり、意見を整理しにくくなったりします。少人数に分けるだけで議論が活性化するわけではないため、開始前に「何を話すか」という問い、「誰が進行・書記・発表を担うか」という役割、「何分でまとめるか」という時間、「何をメインルームへ持ち帰るか」という成果物を、画面共有・チャット・音声で明確に示しましょう。
テーマに関する前提知識が不足している場合は、短い説明や個人で考える時間を設けてからルームを開くと、沈黙や雑談だけで終わることを防ぎやすくなります。グループごとの内容を整理する際は、Zoomホワイトボードや共有ドキュメントを併用し、書記役がメモを残す運用が便利です。
ホストや共同ホストは、ルームの作成、参加者の割り当て、ルームの巡回、全体への案内送信を行えます。別々のZoom URLを複数作成しなくても、一つのミーティング内で小グループの活動を管理できることが利点です。
大規模な研修やイベントでは、共同ホストを設定して参加者対応や巡回を分担しましょう。途中参加者の案内役、技術サポート役、各ルームの巡回役をあらかじめ決めておくと、運営が安定します。
ブレイクアウトルームを閉じる際には、参加者がメインルームへ戻るまでのカウントダウン時間を設定できます。討議時間は余裕を持って設計し、終了前には一斉メッセージや音声で残り時間を案内するとよいでしょう。
Zoom AIのミーティング要約(旧AI Companion)は、メインセッションの要約やアクション項目の整理に活用できますが、ブレイクアウトルーム内では利用できません。また、クラウド録画はホストがどのルームに移動していてもメインミーティングまたはメインウェビナーのみを記録し、ブレイクアウトルーム内の内容は収録されません。
ブレイクアウト内の議論を記録したい場合は、ホストが共同ホストまたは対象ユーザーにコンピュータへのローカル録画を許可し、各ルームの担当者に録画してもらう方法があります。録画できるのは録画者が参加しているルームです。ウェビナーでも、ホストが許可すれば共同ホストや対象ユーザーは参加中のブレイクアウトルームをローカル録画できます。
録画を行う際は、参加者への通知、社内規程、個人情報の取り扱いを事前に確認してください。記録の必要性が低い場合は、書記役を配置して共有ドキュメントや議事メモに残す方法も有効です。AI要約を活用する場合は、ブレイクアウト終了後にメインルームで代表者が要点を発表し、その全体共有を要約対象にしましょう。
ブレイクアウトルーム自体は利用条件を満たしていればZoomの基本プランでも使用できます。ただし、参加人数、開催時間、クラウド録画、ウェビナー機能などは契約内容によって異なります。
| 有料ライセンス・アドオンを利用する場合 | Zoom Workplace Basic(無料) | |
| 参加人数 | プランにより100〜500人。アドオンで拡張可能 | 原則最大100人 |
| 開催時間 | 有料ライセンスでは原則最大30時間 | 複数人ミーティングは原則40分 |
| クラウド録画 | 対応プランで利用可能 | 利用不可 |
| コンピュータ録画 | 対応デスクトップアプリで利用可能 | 利用可能 |
| ウェビナーでのブレイクアウト | Zoom Events Unlimited、Zoom Webinars Plus Unlimited、Zoom Webinars Plus Pay Per Attendeeなどの対応ライセンスが必要 | 利用不可 |
無料プランは短時間の打ち合わせや小規模なグループワークに向いています。一方、説明、グループ討議、発表、質疑応答まで行う研修やイベントでは、時間制限を確認したうえで有料プランを検討すると安心です。会社が有料契約をしていても、ホストに付与されている権限がBasicの場合は40分制限となるため、開催者のライセンスを確認しましょう。
ウェビナーのライセンス名や提供条件は変更される場合があるため、購入前にはZoom公式サイトで最新の要件を確認してください。
ここからは、ブレイクアウトルームの作り方と設定方法を紹介します。利用するには、事前にZoomの設定でブレイクアウトルームを有効にしておく必要があります。
Zoom Workplaceでは、バージョンや画面サイズによってボタンの表示位置が異なります。現行UIでは、ブレイクアウトルームの操作が右側パネルに表示されることがあります。パネルは別ウィンドウとしてポップアウトできるため、共同ホストが参加者パネルなどと並べて管理したい場合にも便利です。古い操作画面を前提にせず、ホスト・共同ホスト・参加者ともに本番と同じバージョンでリハーサルを行いましょう。
ホストとしてミーティングを設定する場合は、ZoomのWebポータルにサインインします。組織のSSOや指定アカウントを利用する場合は、運営用アカウントでサインインしていることを確認してください。
Webポータルの設定画面で、ミーティング用のブレイクアウトルームに関する項目を有効にします。事前割り当てを利用する場合は、事前割り当てに関する設定も確認してください。
企業や学校などの組織アカウントでは、管理者がこの機能を無効化またはロックしている場合があります。設定を変更できないときは、社内のIT管理者またはZoom管理者へ確認しましょう。
詳細設定が済んだら、WebポータルまたはZoom Workplaceアプリからミーティングを作成します。トピック、開催日時、所要時間、パスコード、待機室、参加者のビデオ設定などを目的に応じて設定して保存します。
外部参加者を招く研修では、使用するZoomアカウント、表示名の形式、カメラ・マイクの利用条件、録画やスクリーンショットの可否、成果物の提出先を事前に案内しましょう。営業行為の禁止など、ルーム内の行動ルールも明示すると安心です。
参加者の割り当て方法は、大きく「事前に割り当てる方法」と「ミーティング中に割り当てる方法」に分けられます。
参加者リストが決まっている研修や授業には事前割り当てが便利です。当日の出席状況に応じて柔軟にグループを決めたい場合は、ミーティング中に手動または自動で割り当てましょう。
ミーティングの編集画面でブレイクアウトルームの事前割り当てを選択し、必要な数のルームを作成します。ルーム名は、テーマ名やグループ名など、参加者に伝わりやすい名称にするとよいでしょう。参加者を1人ずつ追加する方法のほか、外部Zoomユーザーを含む参加者を割り当てる場合はCSVファイルをインポートする方法もあります。
事前割り当てを適用するには、参加者が、割り当てに使用したメールアドレスに関連付けられたZoomアカウントへサインインして参加する必要があります。サインインしていない場合や別のアカウントで参加した場合、事前割り当ては適用されません。案内メールには、利用するアカウントとサインイン手順を明記し、当日調整用に共同ホストを配置しましょう。
事前割り当ては最大100ルーム、最大1,000人まで利用できます。1ミーティングにつき保存できる事前割り当ては1セットで、定期ミーティングではシリーズ全体への適用が必要です。また、事前割り当てを使うミーティングではエンドツーエンド暗号化を無効にする必要があります。固定周期の定期ミーティングでは複数の割り当てセットを保存できる場合もありますが、契約・設定・開催形式によって条件が異なるため、事前に確認してください。
Zoom Workplaceでは、画面下部のツールバーに「ブレイクアウトルーム」が表示される場合と、「詳細」または「…」メニュー内に表示される場合があります。クリックすると右側パネルでルーム作成、割り当て、開始などを操作できます。
「ブレイクアウトルーム」を開き、作成するルーム数を指定して手動割り当てを選びます。各ルームの割り当て操作から参加者を選択し、振り分けます。割り当て後に内容を確認し、「すべてのルームを開ける」をクリックして開始します。
部署、経験年数、役割などを考慮してグループを作りたい場合や、途中参加者を空いているルームへ案内したい場合に適した方法です。
ルーム数を指定して自動割り当てを選ぶと、Zoomが参加者を各ルームへ均等に振り分けます。短時間で人数を分けたい場合に便利ですが、開始前に人数の偏りや所属の重複がないかを確認し、必要に応じて手動で調整しましょう。
テーマ別の交流会やネットワーキングでは、参加者自身が入りたいルームを選べる機能が便利です。ホストが複数のルームを作成し、参加者によるルーム選択を許可すると、参加者は興味のあるテーマや話したい相手に合わせて移動できます。
ルーム名にはテーマや登壇内容を設定し、開始・終了時刻を統一しましょう。参加者には事前にテーマ一覧を提示し、人気テーマへの集中を想定して定員、代替ルーム、質問の提出先などを準備しておくと運営しやすくなります。
研修やワークショップでは、自己紹介、課題討議、発表準備のように、複数回ブレイクアウトを行うことがあります。各ラウンドの目的、時間、グループ分けを事前に設計することが重要です。
参加者を毎回入れ替えるのか、同じグループで継続するのかを決め、ラウンドごとに問い・役割・時間・成果物を示しましょう。本番前にリハーサルを実施し、ルームの再編、全体共有、途中参加者の扱いまで確認するとスムーズです。
待機室を利用している場合は、入室させるタイミングとブレイクアウトへの案内方法を決めておくと、開始直後の混乱を防げます。途中参加者がいる場合は、ホストまたは共同ホストが空いているルームへ手動で割り当てる運用が確実です。
大規模イベントでは、途中参加者の対応を担当する共同ホストを1名置くと、討議中のグループへの影響を抑えられます。
ホストが許可すると、参加者は自分でブレイクアウトルームを選び、必要に応じて移動できます。テーマ別相談会、採用イベント、オンライン懇親会、ネットワーキングでは、参加者が興味に合わせて行動できるため、交流が生まれやすくなります。
カウントダウンタイマーは、ブレイクアウトルームを閉じる操作をした後、参加者がメインルームへ戻るまでの猶予時間を表示する機能です。話の途中で突然切り替わることを防ぎ、最後のまとめや移動準備の時間を作れます。
30秒〜60秒程度を目安に設定し、終了前には「残り5分です」「発表者を決めてください」などの案内を送ると、より円滑に進行できます。
ホストは、すべてのブレイクアウトルームへテキストメッセージを一斉送信できます。さらに、設定によりホストの音声を全ルームへ一斉に届けることも可能です。
一斉メッセージは短時間で消える場合があるため、課題文、提出先、重要なURLなどは共有資料やチャットにも残しておきましょう。終了時刻の変更や緊急時の連絡には、音声による一斉案内も有効です。
ブレイクアウトルーム内で参加者が困った場合は、ヘルプ機能でホストを呼び出せます。ホストや共同ホストは呼び出しを受けたルームに入り、操作方法の説明や議論のサポートを行えます。
研修や授業では、開始前にヘルプの呼び出し方を説明しておくと安心です。
ホストは、自分の画面をすべてのブレイクアウトルームへ同時に共有できます。共通の課題文、説明スライド、作業手順、タイマーなどを全グループに表示したいときに便利です。
ただし、全ルームへの一斉共有を始めると、各ルーム内で行われている画面共有が中断されることがあります。各グループが資料を共有している時間帯は避ける、共有前に音声やメッセージで予告するなどの配慮をしましょう。
大人数のイベントでは、ホスト1人ですべてのルームを管理するのは困難です。共同ホストを設定し、各担当者が複数のルームを巡回する体制にすると、質問対応やトラブル対応をスムーズに行えます。
共同ホストには、担当ルーム、巡回タイミング、参加者から質問を受けた際の対応方針を事前に共有しましょう。運営者用のチャットや連絡手段も用意しておくと、連携しやすくなります。参加者の音声・映像・画面共有・リアクションなどのアクティビティを確認する機能を使う場合は、参加者に通知や免責表示が出るため、利用目的と設定を事前に確認してください。
ブレイクアウトルームは機能を有効にするだけでなく、事前設計が重要です。次のポイントを押さえると、当日の進行が安定します。
特にオンラインイベントでは、長時間の講演を続けるよりも、短い説明とブレイクアウトを組み合わせたほうが参加者の集中力を保ちやすくなります。参加者が自分の言葉で話す時間を設けることで、満足度や学習効果の向上も期待できます。
※Zoom Workplaceの画面、ライセンス名、対応機能は、アプリのバージョン、契約プラン、管理者設定、段階的な機能展開によって異なる場合があります。本番前に、ホスト・共同ホスト・参加者それぞれの環境で動作を確認してください。
ブレイクアウトルームを使いこなせば、大人数のオンラインミーティングでも参加者一人ひとりが発言しやすくなり、会議、研修、イベントの質を高められます。事前準備と運用ルールを整えたうえで、ぜひ活用してみてください。
Zoomの全体的な使い方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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