「ミーティングインテリジェンス(MI)」と「レベニューインテリジェンス(RI)」。 この2つの言葉は、しばしば混同され、あるいは同じ文脈で語られますが、経営視点で見ればその役割は明確に異なります。
2026年2月現在、世界のセールステック市場では、この2つの境界線が急速に消滅しつつあります。かつては「商談の録音・解析」に過ぎなかったツールが、今や「売上予測(Forecast)」の中枢を担う統合プラットフォームへと進化を遂げました。
本記事では、GongやClariといった海外の先行事例と、2025年末に完了したClariとSalesloftの合併という象徴的な出来事を踏まえ、日本企業が目指すべき「データドリブンな営業組織」のあり方を紐解きます。これは単なるツール選定の話ではなく、「事実(Reality)」に基づいて経営判断を下せるかという、組織のOS(オペレーティングシステム)に関する問いです。
比較基準日:2026年2月18日
まず、結論から申し上げます。MIとRIは対立する概念ではなく、「包含関係」にあります。MI(会話の解析)は、RI(売上の予測)を実現するための最も重要な「入力データ」の一つです。
組織のフェーズや課題感によって、着手すべき領域は異なります。
両者の違いを理解するために、以下の3つの軸で定義を整理します。
これらは「どちらが優れているか」ではなく、「どの解像度でビジネスを見ているか」という視座の違いと言えます。
以下は、MIとRIの主要な違いと、代表的なプレイヤーを整理したものです。
| 比較項目 | ミーティングインテリジェンス (MI) | レベニューインテリジェンス (RI) |
|---|---|---|
| 主な目的 | Coaching & Enablement 商談の質向上、教育、ナレッジ共有 |
Forecast & Risk Management 売上予測の精緻化、案件リスク検知 |
| 問い (Question) | 「会議で何が話されたか?」 (What was said?) |
「この案件は成約するか?」 (Will this deal close?) |
| 対象データ | 商談の録音、文字起こし、動画 | 全顧客接点(メール、カレンダー、MI)+CRM |
| アウトプット | 議事録、トピック分析、フィードバック | 売上着地見込み、パイプライン健全性スコア |
| 代表的プレイヤー | MiiTel, amptalk (日本市場で先行) |
Clari, Gong, Xactly (海外で主流、統合が進む) |
| 関係性 | Input (部分) | System (全体) |

ここでは、市場を牽引する象徴的なプレイヤーと、日本企業における選択肢について解説します。
「Opinion(主観)」から「Reality(事実)」へ
Gongは当初、通話録音・解析ツール(MI)として登場しましたが、現在では自らを「Revenue Intelligence」のリーダー、さらには「Reality Platform」と定義しています。 最大の特徴は、CRMに入力された営業担当者の「主観的な報告(Opinion)」を信用せず、顧客との対話データという「事実(Reality)」のみを正解として扱う哲学です。 「顧客が競合他社について言及した」「決裁者が会議に参加していない」といった事実をAIが検知し、成約確度を自動算出します。日本市場への本格参入は限定的ですが、その概念は全てのSaaS企業のベンチマークとなっています。
予実管理のデファクトスタンダード
Clariは、SalesforceなどのCRMデータを吸い上げ、AIで高精度な売上予測を行うRIの代表格です。 特筆すべきは、2025年後半にSales Engagement領域のリーダーであるSalesloftとの合併を完了した点です。これにより、「予測(Clari)」と「実行(Salesloft)」が完全に統合されました。予測でリスクを検知し、即座にアクション(メールや架電)へ繋げる「Revenue Action Orchestration」の世界を実現しています。
**現場の生産性と「入力負荷」への解
日本市場では、MiiTelやamptalkがMI領域で圧倒的な支持を得ています。海外のような厳格な「Forecast(予実管理)」よりも、「議事録作成の自動化」や「SFAへの入力代行」といった、現場の工数削減・生産性向上が導入のドライバーとなっているのが特徴です。 一方で、Magic Moment**のように、行動管理から入りつつ「Playbook BI」によって予実管理(RI)領域へ踏み込む動きも加速しています。日本企業においては、まずこれらを用いて「商談の可視化」を定着させることが、RIへの第一歩となります。
レベニューインテリジェンスの精度は、入力されるデータの「質」と「量」に依存します。"Garbage In, Garbage Out"(ゴミデータを入れればゴミのような予測しか出ない)は、AI時代の鉄則です。
ここで重要になるのが、顧客接点の入り口である「日程調整ツール」の役割です。
Jicooなどの日程調整ツールをCRMと連携させることで、アポイントが確定した瞬間に、正しい顧客情報と商談フェーズがCRMに自動記録されます。 手動入力に頼ると、「カレンダーには予定があるが、CRMには案件が存在しない」という幽霊案件が発生し、RIの予測精度を著しく下げてしまいます。日程調整ツールは、RIのエコシステムにおいて「正確な一次情報のゲートウェイ」として機能します。
日程調整ツールで担当者の自動割り当て(ラウンドロビン)や、会議URLの自動発行を行うことは、単なる効率化ではありません。「誰が、いつ、誰と会うか」というデータが、人手を介さずにデジタル化されることを意味します。この「人為的ミスのないデータ基盤」があって初めて、高度なAI予測が機能します。
自社が今、MIを導入すべきか、それともRIへ進むべきか。以下のチェックリストで組織の現在地を確認してください。
ミーティングインテリジェンスとレベニューインテリジェンスの違い、それは「木を見るか、森を見るか」の違いに似ています。しかし、健全な森(売上)は、一本一本の木(商談)の健全性なくしてはあり得ません。
海外のトレンドは明確に「統合」へ向かっています。GongやClariが示しているのは、営業という営みが「個人の職人芸」から「科学的な組織能力」へとパラダイムシフトしている現実です。
日本企業がこの波に乗るために必要なのは、いきなり高価なRIツールを入れることではありません。まずは、「顧客との接点データを、人の手を介さずにデジタル化する」ことから始めることです。
このステップを踏むことで、あなたの組織は「報告に追われる組織」から「事実に導かれる組織」へと進化できるはずです。まずは、目の前の商談データのあり方を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。

セールスや採用などのミーティングに関する業務を効率化し生産性を高める日程調整ツール。どの日程調整ツールが良いか選択にお困りの方は、まず無料で使い始めることができサービス連携や、必要に応じたデザインや通知のカスタマイズなどの機能が十分に備わっている日程調整ツールの導入がおすすめです。


