Outlookの「仕分けルール」を使うと、受信したメールを条件に応じて自動処理できます。手作業でメールを移動・分類している業務を自動化すれば、確認漏れを防ぎながら受信トレイを整理できます。
たとえば、次のような使い方ができます。
ただし、現在は従来のデスクトップ版Outlook(クラシックOutlook)から「新Outlook for Windows」への移行期にあり、使えるルールの種類やアクションに差があります。特に新Outlookではクライアント専用ルールが廃止され、基本的にサーバー側で実行できるルールが中心になります。クラシックOutlookで使えていた「受信メールに自動でフラグを付ける」「スクリプトを実行する」といった一部の処理は、新Outlookではそのまま再現できない場合があります。
この記事では、クラシックOutlook、Web版Outlook、新Outlookでの考え方を整理しながら、自動振り分けの設定方法を解説します。iOS/Android版Outlookアプリでは詳細なルール作成・編集が難しいため、ルール管理はPC版またはWeb版に一元化し、スマホでは通知確認や一次対応に留める運用がおすすめです。
Outlookの仕分けルールでは、メールの差出人・宛先・件名・本文・添付ファイルの有無などを条件にして、移動、コピー、削除、カテゴリ付け、転送などの処理を設定できます。利用できる条件やアクションは、クラシックOutlook、新Outlook、Web版Outlook、アカウント種別によって異なります。
| 文字列 | 件名、本文、差出人アドレス、宛先アドレス、メッセージヘッダーなどに特定の文字列が含まれるメールを振り分けできます。 |
| 差出人・宛先 | 特定の差出人、自分だけに送信されたメール、自分がTo/CCに含まれるメールなどを条件にできます。 |
| ステータス・分類 | 重要度、秘密度、カテゴリなどを条件にできます。なお、新OutlookではクラシックOutlookと比べて使えるアクションに制限があります。 |
| 添付ファイル | 添付ファイルの有無などを条件にできます。請求書や申込書などの処理に便利です。 |
| メールの状態 | メールサイズ、受信日時、期間などを条件にできます。 |
| 会議関連 | 会議出席依頼や更新通知などを条件にできます。 |
新Outlook for WindowsとWeb版Outlookでは、ルールがサーバー側に保存されるため、PCとWebで同じルールを使いやすいというメリットがあります。一方で、クラシックOutlookのクライアント専用ルールやローカルPCに依存する処理は、新Outlookでは動作しない可能性があります。移行前には、既存ルールの条件、アクション、対象アカウントを棚卸しし、移行後も必要なルールを新OutlookまたはWeb版Outlookで再作成できるか確認しておきましょう。
| 環境 | ルール作成・編集の考え方 |
| クラシックOutlook | 詳細なルールやクライアント専用ルールを作成できます。ただし、新Outlookへの移行時に互換性を失うルールがあり、POPアカウントやPSTファイルに依存する運用は不安定化リスクがあります。 |
| 新Outlook for Windows / Web版Outlook | サーバー側ルールを中心に作成・編集します。デバイス間で同期しやすい反面、クラシックOutlookにあった一部アクションは未対応です。新OutlookではMicrosoft系以外のメールボックスにルールを適用できない場合があります。 |
| Gmail、Yahoo、POP/IMAPなどの外部アカウント | 新Outlook上でアカウントを追加できても、Outlook側のルール機能を同じように使えるとは限りません。外部サービス側のフィルタ機能、クラシックOutlook、別クライアントの併用を検討します。 |
| スマホ版Outlook | 詳細なルール作成・編集には向きません。通知確認、検索、簡単な返信などの補助用途に留めるのが現実的です。 |
ここでは、現在も多くの企業で使われているクラシックOutlookの画面を基準に解説します。新Outlookを利用している場合は、後述するWeb版Outlookに近い操作体系となり、[設定]>[メール]>[ルール]から設定します。
なお、クラシックOutlookでPOPアカウントやローカルPSTファイルを使う運用は、更新プログラムや同期環境の影響で不具合が起きるリスクがあります。特にPSTファイルをOneDriveなどクラウド同期フォルダー上に置く構成は避け、可能であればExchange Onlineなどのサーバー側メールボックスへ移行することをおすすめします。
デスクトップ版Outlookを開きます。

メニューから[ルール]を選択します。

[仕分けルールの作成]をクリックします。

仕分けルールの作成画面では、選択中のメールをもとに簡単なルールを作成できます。より細かい条件を設定する場合は、[詳細オプション]をクリックします。
ステップ1で、振り分けの条件を選びます。複数の条件を組み合わせることもできます。

条件にチェックを入れると、ステップ2に条件の内容が表示されます。青字になっている[アドレス]や[特定の文字]をクリックし、対象のメールアドレスやキーワードを指定しましょう。

たとえば本文に特定の文字列が含まれるメールを振り分ける場合は、[特定の文字]をクリックし、キーワードを入力して[追加]を押します。条件を設定できたら[次へ]をクリックします。
次に、条件に一致したメールへどのような処理を行うかを設定します。

処理したい項目にチェックを入れます。フォルダーへ移動する場合は、[指定フォルダーへ移動する]を選び、ステップ2の青字[指定]をクリックします。

フォルダーの選択画面で振り分け先を選びます。フォルダーがない場合は、作成したい場所を選択して[新規作成]をクリックし、フォルダー名を入力して作成します。

フォルダーを指定したら[OK]をクリックします。処理の設定が終わったら[次へ]をクリックします。
条件に一致しても処理したくないメールがある場合は、例外条件を設定します。例外がない場合は、何も選択せずに[次へ]をクリックしてください。

例外条件にチェックを入れ、ステップ2の青字部分からキーワードや差出人などを指定します。

例外条件を設定できたら[次へ]をクリックします。

ルール名を入力します。実務では、後から見直しやすいように「部署名+目的+対象」などを含めると管理しやすくなります。例:営業_請求書_自動移動

[受信トレイ内のメッセージに仕分けルールを適用する]にチェックを入れると、受信済みのメールにもルールを適用できます。[この仕分けルールを有効にする]にチェックを入れると、今後受信するメールに自動適用されます。設定できたら[完了]をクリックします。

確認メッセージが表示されたら[OK]をクリックします。

メールが指定した条件に従って振り分けられます。
作成済みのルールを変更するには、[ルール]>[仕分けルールと通知の管理]を開きます。


変更したいルールを選択し、[仕分けルールの変更]>[仕分けルール設定の編集]をクリックします。


自動仕分けウィザードが開くので、作成時と同じ手順で条件やアクションを変更します。
不要になったルールは、[ルール]>[仕分けルールと通知の管理]から削除できます。


削除するルールにチェックを入れ、[削除]をクリックします。

確認画面で[はい]をクリックし、[OK]で画面を閉じます。仕分けルールを削除しても、すでに振り分け済みのメールは元に戻りません。
Web版OutlookまたはOutlook.comでは、ブラウザからサーバー側ルールを設定できます。新Outlook for WindowsもWeb版に近い画面構成のため、新Outlookを使っている場合もこの手順が参考になります。
Outlook.comまたは職場・学校アカウントのOutlook on the webにログインします。

画面右上の歯車マーク[設定]をクリックします。

[メール]>[ルール]を開きます。

[+新しいルールを追加]をクリックします。

まず、ルール名を入力します。ルール名は後から一覧で確認するため、目的が分かる名前にしておきましょう。

[条件を選択してください]をクリックし、振り分け条件を選びます。

特定の差出人からのメールを振り分ける場合は、[差出人]を選択し、メールアドレスまたは名前を入力します。過去にやり取りした相手や連絡先に登録されている相手は候補として表示されるため、該当する候補を選択します。

条件を追加する場合は、[別の条件を追加]をクリックします。複数条件を設定すると、より精密に振り分けできます。

[アクションを選択してください]をクリックし、条件に一致したメールへの処理を選択します。

フォルダーに移動したい場合は、[指定の場所に移動]を選択します。移動先フォルダーがない場合は、[フォルダーの新規作成]から作成できます。

必要に応じて[別のアクションを追加]から、カテゴリの付与、既読化、転送などの処理を追加します。ただし、新Outlook/Web版ではクラシックOutlookと同じアクションがすべて使えるわけではありません。たとえば、自動フラグ付けやスクリプト実行などが必要な場合は、カテゴリ、検索フォルダー、Power Automateなどの代替手段も検討しましょう。

条件に一致しても処理したくないメールがある場合は、[例外を追加]をクリックします。

例外条件のメニューから、差出人、件名、日付、重要度などを選択します。

日付を使う場合は、表示されたカレンダーから対象日を選択します。

設定内容を確認したら、[保存]をクリックします。

保存したルールは、今後受信するメールに対して実行されます。受信済みメールにも適用したい場合は、一覧に表示される[ルールを今すぐ実行する]を使います。
歯車マーク[設定]から[メール]>[ルール]を開きます。

変更したいルールの鉛筆マーク[編集]をクリックします。

条件やアクションを変更し、[保存]をクリックします。
[メール]>[ルール]を開き、削除したいルールのゴミ箱マークをクリックします。


確認画面で[OK]をクリックすると削除完了です。
新Outlookでは、ルールはWeb版Outlookと同じくサーバー側で管理される方向に統一されています。これにより、PCとWebで同じルールを使いやすくなる一方、クラシックOutlookのクライアント専用ルールは使えなくなります。移行時にルールが無効化されたり、同じ動作を再現できなかったりする可能性があるため、重要なルールは事前に一覧化しておきましょう。
また、Microsoft 365 Copilot in Outlookでは、対象ユーザー向けに自然言語でルール作成を支援する機能が提供・検証されています。たとえば「〇〇さんからのメールを△△フォルダーに移動するルールを作って」のように指示すると、Copilotが条件やフォルダーを確認し、ルール作成画面へ案内する流れです。
ただし、CopilotによるOutlookルール作成は、すべてのユーザーがすぐに利用できる一般機能とは限りません。利用には新Outlook、Microsoft 365 Copilot、プレビューやFrontierなど対象環境が必要になる場合があります。また、Copilotが自動で処理を進める場合でも、ユーザーが内容を確認し、操作を許可する設計になっています。現時点では「将来的に有望な支援機能」と捉え、社内で自動化したいメール処理を洗い出しておくとよいでしょう。
同じ会社の人から送られたメールをまとめて振り分けたい場合は、メールアドレスを一つずつ指定するよりも、会社のドメインを条件にする方法が便利です。
ドメインとは、メールアドレスの@以降の部分です。たとえばABC株式会社のメールアドレスが@abc.comで統一されている場合、差出人アドレスに@abc.comを含むメールを「ABC(株)フォルダー」へ移動するルールを作成できます。
クラシックOutlookでは、[ルール]から[仕分けルールの作成]を開きます。

[詳細オプション]をクリックします。

ステップ1で[差出人のアドレスに特定の文字が含まれる場合]にチェックを入れ、ステップ2の[特定の文字]をクリックします。

@abc.comを入力して[追加]をクリックし、[OK]を押します。

条件が設定されたら[次へ]をクリックします。

処理として[指定フォルダーへ移動する]を選択し、移動先に「ABC(株)フォルダー」を指定します。フォルダーがない場合は新規作成します。


フォルダーを作成・選択できたら[OK]をクリックし、次の画面へ進みます。


例外条件がなければそのまま[次へ]をクリックします。

最後にルール名を入力します。受信済みメールにも適用したい場合は、[受信トレイ内のメッセージに仕分けルールを適用する]にチェックを入れ、[完了]をクリックします。

新OutlookやWeb版Outlookで同じことを行う場合は、[設定]>[メール]>[ルール]から、条件に「差出人アドレスに特定の文字列を含む」、アクションに「指定の場所へ移動」を設定します。
後で対応するメールを受信トレイに置いたままにすると、対応漏れや二重確認が起きやすくなります。対応状況に応じてカテゴリを付け、必要に応じてフォルダーへ移動する運用にすると、状態を把握しやすくなります。
ここでは、次のような運用を例にします。
まず、分類項目を作成します。

Outlookのメニューから[分類]をクリックします。

[すべての分類項目]をクリックします。

既存の色分類を「要対応」「確認中」「対応済」など、業務で使いやすい名前に変更します。

分類したいメールを開き、[分類]から該当するカテゴリを選びます。


次に、カテゴリを条件にしたルールを作成します。[ルール]>[仕分けルールの作成]をクリックします。

[詳細オプション]を開きます。

[分類項目が(分類項目)の場合]にチェックを入れ、ステップ2の[(分類項目)]をクリックして対象カテゴリを選びます。

次に、アクションとして[指定フォルダーへ移動する]を選択し、対応するフォルダーを指定します。


例外条件がなければそのまま進み、ルール名を入力して完了します。同じ手順で「確認中」「対応済」のルールも作成します。

この運用では、メール受信後に手動でカテゴリを付けるため、必要に応じてルールを手動実行します。[フォルダー]タブから[仕分けルールの実行]をクリックします。

実行したいルールにチェックを入れ、対象フォルダーを確認して[今すぐ実行]をクリックします。

対象メールが、設定したフォルダーへ移動します。

なお、新OutlookではクラシックOutlookとカテゴリやルールの挙動が完全に同じとは限りません。対応状況を管理したい場合は、フォルダー移動にこだわりすぎず、カテゴリ、ピン留め、スヌーズ、検索を組み合わせる方法も有効です。
メールの自動振り分けを設計する際は、「仕分けルールで意図して移動したメール」と「迷惑メール判定で隔離されたメール」を分けて考える必要があります。
重要なメールが迷惑メールフォルダーに入ると、通常の仕分けルールで想定したフォルダーに移動しないことがあります。営業、購買、請求、採用などの重要メールが届かないと感じた場合は、ルールだけでなく、迷惑メール設定や信頼できる差出人リストも確認しましょう。
Outlook.comやOutlook on the webでは、迷惑メールフォルダー内のメールが一定期間後に自動削除される場合があります。重要な取引先や社内システムからのメールは、信頼できる差出人として登録する、受信確認フローを作るなどの対策を行うと安心です。
Outlookの仕分けルールは便利ですが、ルールを増やしすぎると管理が難しくなります。フォルダーが多すぎると、かえってメールを探しにくくなることもあります。ルールは「確実に自動化したい処理」に絞り、不要なダイレクトメールは配信停止するなど、受信するメール自体を減らすことも大切です。
新Outlookへの移行を見据える場合は、クラシックOutlookにしかない処理へ依存しすぎない設計にしましょう。差出人、件名キーワード、本文キーワード、添付ファイルの有無、カテゴリ付け、フォルダー移動など、Web版Outlookや新Outlookでも再現しやすい条件を中心に設計すると、移行時のトラブルを減らせます。
特に、クラシックOutlookのクライアント専用ルール、ローカルPSTファイル、POPアカウント、VBAやスクリプトに依存した処理は、長期的には見直し対象です。PSTを使う必要がある場合でも、OneDriveなどの同期フォルダー上で直接運用するのは避け、可能な限りExchange Onlineなどのクラウドメール基盤とサーバー側ルールへ寄せると安定性が高まります。
新Outlookは機能追加が進んでおり、ピン留め、スヌーズ、送信予約、ダークモードなど、従来のルールだけに頼らない整理方法も使えるようになっています。一方で、クラシックOutlookとの機能差はまだ残っており、企業ユーザー向けには移行猶予が延長されたと報じられています。業務で重要な機能が新Outlookで使えるかどうかを、パイロットユーザーや一部部門で事前に検証してから展開するのがおすすめです。
Outlookの基本ルールだけで対応しきれない場合は、Power Automateを使った通知、承認、エスカレーション、外部システム連携も検討しましょう。複雑な業務ロジックをメールルールだけで実現しようとすると、属人化や保守負荷が高くなります。
今後は、CopilotのようなAIエージェントが受信トレイ整理や優先度付け、要対応メールの抽出、ルール作成支援を担う場面が増えていくと考えられます。すぐに全業務をAIへ任せるのではなく、まずは自社のメール処理を棚卸しし、「どのメールを優先するか」「どの条件なら自動化してよいか」「人が確認すべき処理は何か」を整理しておきましょう。そうすることで、新OutlookやCopilotを導入する際にも、現場に合った安全な自動化を進めやすくなります。
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