Claude Code企業導入のセキュリティ完全ガイド:シャドーAIを防ぐ権限管理とZDR
エンジニアの生産性を劇的に向上させるエージェント型AIツール「Claude Code」。その導入は企業にとって大きな競争力となる一方で、ソースコードや認証情報の流出といったセキュリティリスクへの懸念も招きます。
現在、多くの企業で課題となっているのが「シャドーAI」です。現場のエンジニアが個人の判断でツールを導入してしまい、管理者が把握できない状態で機密データが処理されるリスクです。しかし、利用を一律に禁止することは、イノベーションを阻害するだけでなく、地下潜行によるさらなるリスク(隠れた利用)を助長しかねません。
本記事では、CTOやIT管理者が押さえておくべき、Claude Codeを「安全に」全社導入するためのセキュリティ対策とガバナンス構造について解説します。
managed-settings.json)を用いた、ローカル環境のシステム的な制御これは単なるツール導入の手順書ではありません。「開発者の自律性」と「組織の安全性」を両立させ、攻めのセキュリティ体制を構築するためのガイドです。
企業導入において最大の懸念事項は、「自社のソースコードがAIの学習に使われ、他社への回答として流出すること」です。Claude Codeのエンタープライズ利用では、このリスクを排除する明確な仕組みが提供されています。
Zero-Data-Retention (ZDR) は、商用APIやエンタープライズプランにおいて適用可能な特約設定です。このモードが有効化された環境では、以下の挙動が保証されます。
ZDRはプランによって適用可否が異なります。企業利用では必ずZDRが適用可能なプランを選択する必要があります。
| プラン | 学習利用 | ZDR適用可否 | 企業利用への適性 |
|---|---|---|---|
| Consumer (Free/Pro) | 設定でオプトアウト可 | 不可 | △(個人利用向け、監査不可) |
| API (Commercial) | デフォルトで学習なし | 可 | ◎(システム組み込みに最適) |
| Enterprise | デフォルトで学習なし | 可 | ◎(全社導入の標準) |
実務的には、開発チームに個人のProアカウントを使わせるのではなく、会社として契約したエンタープライズシートやAPIキーを付与し、管理されたZDR環境下で利用させることがSaaS管理の鉄則です。
「社員が勝手にAIを使ってしまう」問題に対し、Claude Codeは「禁止」ではなく「管理されたガードレールの提供」というアプローチを推奨しています。
managed-settings.json によるポリシーの強制適用IT管理者は、従業員のPCに対して managed-settings.json という設定ファイルを配布することで、Claude Codeの挙動を強制的に制御できます。このファイルはユーザー権限では変更できないようロックすることが可能です。
設定可能なポリシーの例:
rm -rf などの破壊的コマンドや、システム設定を変更するコマンドの実行を禁止。.env ファイル、SSH鍵ディレクトリ(~/.ssh)、AWSクレデンシャルなどへの読み取りアクセスを deny に設定。JamfやIntuneなどのMDM(モバイルデバイス管理)ツールを活用し、この設定ファイルを全エンジニアの端末へ一括配布することで、安全なガードレールが設置された状態でのみAIを利用させることができます。
ガバナンスの基本は「可視化」です。何が起きているか把握できない状態(ブラックボックス)を解消します。

金融・公共・医療など、特に高いセキュリティ要件が求められる業界では、AnthropicのAPIを直接利用するのではなく、ハイパースケーラー(AWS/Google Cloud)を経由する構成が推奨されます。
AWS BedrockやGoogle Vertex AIを利用することで、以下のエンタープライズグレードの要件を満たせます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進において、ツールごとの請求処理は管理コストの増大を招きます。クラウドプロバイダー経由であれば、クラウド利用料として請求を一本化でき、部門ごとのコスト配賦(タグ付けによる管理)も容易になります。
Claude Codeの企業導入におけるセキュリティ対策は、「性悪説に基づく監視」だけではなく、「開発者が安心して能力を発揮できる環境づくり(イネーブルメント)」であるべきです。
これらを実装することで、企業はシャドーAIのリスクを排除しつつ、AIによる圧倒的な開発生産性を享受できます。
AIガバナンスは、もはやIT部門だけの問題ではありません。「どの程度のリスクを許容し、どこまでを自動化に委ねるか」という経営判断が求められています。まずは特定のチームを対象に、セキュアな環境下でのPoC(概念実証)から始めてみてはいかがでしょうか。
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