PCの入替やMicrosoft 365のクライアント切替でOutlookの連絡先(アドレス帳)を移行する際は、最初に連絡先がどこに保存されているかを確認することが重要です。Exchange ServerやMicrosoft 365の組織アカウントに保存されている個人連絡先は、原則として新しい端末で同じアカウントにサインインすれば同期されます。一方、POP/IMAP環境、classic Outlookの[連絡先(このコンピューターのみ)]、Windows Mail/Peopleアプリに残っているローカル連絡先は自動同期されないことがあります。これらは事前に書き出してから移行します。
Outlookには、従来のデスクトップ版であるclassic Outlook、新しいnew Outlook、ブラウザーで利用するOutlook on the webがあります。連絡先だけを移す場合の基本はCSVファイルです。CSVのエクスポート・インポートはどの版でも行えますが、メニューの場所は版ごとに異なります。2026年10月時点のMicrosoftサポート情報では、操作の入口は次のとおりです。
PSTファイルは、classic Outlookのメール、予定表、連絡先をまとめて退避・保管する用途に適しています。new Outlookでも連絡先などをPSTへエクスポートできます。また、Microsoftのサポートには、new Outlookの[設定]→[データ ファイル]からPSTをメールボックスへインポートする手順が掲載されています。一方、Microsoftの案内にはPSTの取り扱いについて異なる記述も残っているため、PST内の連絡先・予定表をnew Outlookで参照・移行できるかは一律に断定できません。連絡先の移行はCSVを基本とし、PSTを使う場合は移行対象と操作可能な範囲を事前に確認しましょう。
本記事では、Outlookの個人用連絡先をエクスポート・インポートする手順を解説します。組織全体で共有されるグローバル アドレス一覧(GAL)そのものの移行は対象外です。classic Outlook、new Outlook、Outlook on the webの使い分けに加え、日本語CSVで起こりやすい文字化け、フィールド不一致、重複連絡先を防ぐポイントも紹介します。
Outlookの連絡先データは、主に[.pstファイル]または[CSVファイル]として書き出せます。
実務では、「旧環境全体の退避はPST」「連絡先の移行はCSV」と役割を分けると判断しやすくなります。classic OutlookやWindows Peopleのローカル連絡先をnew Outlookへ移す場合も、まずCSVへエクスポートします。その後、People画面でインポートする流れを基本にしましょう。
PSTは、classic Outlookのメール、予定表、連絡先をまとめて退避したい場合に便利です。new Outlookからも連絡先をPSTへ書き出せます。ただし、書き出したPST内の連絡先をnew Outlookでどのように扱えるかは、Microsoftの案内だけで一律に判断せず、利用環境で確認してください。連絡先のみをnew OutlookやWeb版へ移す目的なら、次項のCSV形式を選んでください。
PSTのパスワードは簡易的な保護にとどまります。顧客情報などを含む場合は、端末暗号化、アクセス権管理、社内承認済みの保管場所の利用を優先してください。
連絡先のみを移行する場合はCSV形式が適しています。classic Outlookでローカル連絡先をCSVに書き出す手順は、次のとおりです。
新端末へ移すローカル連絡先は、フォルダー選択時に[連絡先(このコンピューターのみ)]または[Contacts (This computer only)]を選びます。ただし、Windows Peopleアプリにのみ残っている連絡先は、classic Outlookのローカル連絡先とは別系統です。Windows Mail/Peopleからnew Outlookへ移行する場合は、まず旧アプリにローカルデータが残っていないか確認します。残っていれば、必要な連絡先をCSVでエクスポートしてから取り込みます。
Microsoft 365やExchangeに同期済みの個人連絡先は、通常、新端末で同じアカウントにサインインすれば表示されます。すでに同期されているデータをCSVで再投入すると、重複の原因になります。エクスポート前に、新端末またはOutlook on the webで連絡先がすでに存在しないか確認しましょう。
CSVの文字化け・列ずれを防ぐポイント
new Outlook、Outlook on the web、Outlook.comへCSVを取り込む場合は、CSVをUTF-8エンコーディングで保存します。UTF-8以外のCSVでは、日本語などの文字をインポート時のプレビューで正しく読み取れないことがあります。Excelで中身を点検すること自体は有効です。ただし、classic Outlookから書き出したCSVを確認目的で開いた場合は、通常は変更を保存せずに閉じます。Excelで保存すると、画面上は正しく見えていても文字コードが変わる場合があるためです。編集が必要な場合だけ、[CSV UTF-8(コンマ区切り)]を選んで別ファイルとして保存し、少量でテストしてから使いましょう。
文字化けや取り込みエラーが起きても、Outlookの設定はすぐに変更しないでください。まずCSVをExcelで開き、データが元から記載されているかを確認します(確認だけなら保存せずに閉じます)。そのうえで、文字コード、見出し、区切り文字、各列のデータ内容を確認します。プレビューで文字や列が正しく表示されない場合は取り込みを中止し、CSVをUTF-8に変換・修正してからやり直す方が安全です。
new Outlookでは、classic Outlookのインポート/エクスポート ウィザードではなく、[連絡先](People)画面のリボンからCSVを書き出します。
書き出したCSVはダウンロード フォルダーに保存されます。ほかのファイルと混ざらないよう、作成後すぐにファイル名と保存先を整理しておきましょう。
Microsoft 365の連絡先がクラウド側に同期されている場合は、Outlook on the webからCSVをエクスポートできます。リモートワーク、VDI、共有端末など、端末にclassic Outlookをインストールしていない環境でも利用しやすい方法です。
画面が日本語の場合は[連絡先]、[連絡先の管理]、[連絡先をエクスポート]と表示されることがあります。エクスポートしたCSVは通常、ブラウザーのDownloadsフォルダーに保存されます。共有端末やVDIでは、Downloadsフォルダーの保存先や自動削除ポリシーも確認してください。Web版から書き出せるのは、そのアカウントで利用できるクラウド側の個人連絡先です。旧PCやWindows Peopleにしかないローカル連絡先は、元の環境で別途CSVに書き出します。
移行先のOutlookの種類に応じて、取り込み方法を選びます。classic OutlookではPSTとCSVの両方を扱えます。new Outlookについても、Microsoftのサポートには[設定]→[データ ファイル]からPSTをメールボックスへインポートする手順があります。ただし、PST内の連絡先・予定表の取り扱いについては案内に異なる記述が残るため、連絡先を移す場合はCSV中心で運用し、PSTを使う場合は対象データを事前に確認しましょう。
以下はclassic OutlookでPSTをインポートする手順です。new OutlookにもPSTからメールボックスへインポートする手順はありますが、classic Outlookのウィザードとは操作が異なります。また、PST内の連絡先をnew Outlookで参照・移行できるかを一律に断定することは避けてください。new Outlookへ連絡先を移す場合は、classic Outlookなどで連絡先をCSVに書き出してから取り込む方法を基本とします。
重複処理では、既存データを置き換えるか、重複を許可するか、重複分を取り込まないかを選びます。どれにするかは、実行前に決めておきましょう。判断に迷う場合は、元のPSTを複製して保管し、少量のデータで検証してから本番移行するのが安全です。
classic OutlookでCSVファイルを取り込む手順は、次のとおりです。
インポート先がMicrosoft 365またはExchangeの連絡先なのか、端末ローカルの連絡先なのかを確認してください。ほかの端末でも利用したい連絡先は、組織アカウントの連絡先フォルダーへ取り込むことで同期できる場合があります。
重複をインポートしない設定を選んだ場合、既存のOutlook側の情報が優先されます。CSV側にある同一連絡先の情報は反映されません。取り込み前に「Outlook側とCSV側のどちらを正本にするか」を決め、更新日時や管理元を確認しておきましょう。
new OutlookとOutlook on the webでは、classic Outlookの[ファイル]タブにあるインポート/エクスポート ウィザードは使いません。どちらもPeople画面からCSVを取り込みますが、メニューの場所が異なります。
new Outlookの場合
Outlook on the webの場合
どちらの場合も、インポート前のサンプル表示で文字が読めない場合は取り込みを中止し、CSVをUTF-8で保存し直してからやり直してください。メニューの名称や位置は、契約内容や画面更新によって変わる場合があります。
エクスポートしたPSTやCSVには、氏名、メールアドレス、電話番号、勤務先などの個人情報が含まれます。社内で承認されたオンラインストレージ、暗号化された外付け媒体、バックアップ領域など、データ持ち出しルールに沿った保管先を利用してください。
暗号化されていないUSBメモリでの持ち出しや、誰でも閲覧できる共有リンクでの保管は避けましょう。ファイル名には、作成日、移行元端末、対象フォルダーなどを記載すると管理しやすくなります。たとえば「contacts_YYYYMMDD_oldpc.csv」の形式で、YYYYMMDDに作成日を入れて命名します。こうしておくと、誤って古いファイルを取り込む事故を減らせます。
new Outlookでは連絡先管理をPeople画面で行います。移行前に、次の3種類を分けて確認しましょう。
Windows Peopleのローカル連絡先は、classic Outlookの連絡先とは別に管理されている場合があります。classic OutlookのCSVを確認しただけで移行完了と判断しないでください。旧PCのWindows Mail/Peopleにも連絡先が残っていないか確認しましょう。
さらに、名刺管理ツール、CRM、スマートフォンのアドレス帳同期も確認対象です。たとえばSansan、Salesforce、HubSpotなどと連携している場合、同期元の連絡先をCSVで再投入すると二重登録が起こりやすくなります。
外部ツールとExchange Onlineの連絡先を同期している場合は、CSVの退避とは別の確認も必要です。その連携がExchange Web Services(EWS)に依存していないか、管理者や提供元に確認してください。Microsoftは、Exchange OnlineのEWSを2026年10月から組織単位で段階的に無効化し、2027年4月に全面的に無効化する予定と案内しています(2026年10月時点)。CSVを書き出せるかどうかと、外部連携が継続するかどうかは別の確認項目です。連携が止まった場合は、まず同期元と接続方式を切り分けましょう。
企業環境では、IntuneなどのMAM・MDMポリシーにより、連絡先の書き出し、コピー、外部ストレージへの保存が制限されることがあります。操作できない場合も、Outlookの不具合と決めつけないでください。情報システム部門に、端末管理の有無、外部ストレージの利用制限、共有リンクやクラウド同期フォルダーの利用可否を確認しましょう。
外付けHDD、USBメモリ、ネットワークドライブ、OneDriveなどのクラウド同期フォルダーへ直接保存すると、権限や同期の影響で失敗することがあります。まずPCのドキュメントなどローカル領域に保存し、ファイルが正常に作成されたことを確認します。そのあとで所定の保管先へ移動する方法が安全です。
ローカルに保存した段階で、ファイルサイズ、拡張子、CSV内の文字化けの有無を確認します。インポート時も、対象ファイルをいったんローカルディスクにコピーしてから実行すると、ネットワーク切断や同期競合の影響を受けにくくなります。
CSVインポートのトラブルは、Outlook側よりCSVの形式・内容に原因があることが少なくありません。特に日本語や多言語の氏名、会社名、住所を含む場合は、UTF-8で保存してください。
問題が起きたCSVを何度も取り込むと、重複連絡先が増えて整理が難しくなります。元ファイルを修正し、テスト用の少量データで結果を確認してから本番データを取り込みましょう。
インポート後は件数だけでなく、会社名+氏名、メールアドレス、電話番号を中心に内容を照合します。住所、部署名、表示名も含め、必要な項目が正しいフィールドへ入っているか確認してください。
new Outlookでは、連絡先の更新内容がほかのOutlookクライアントにも同期・反映されます。CSVを再投入する前に、classic Outlook、new Outlook、Outlook on the webのそれぞれで、同じ連絡先がすでに同期されていないか確認することが重要です。重複が見つかった場合は単純に削除せず、どの情報を正本にするかを決めて統合しましょう。
Microsoft 365の組織ディレクトリに登録されているユーザーは、組織情報が自動更新されます。個人連絡先と一致する場合には、自動リンクされることもあります。そのため、1人分の情報が表示されていても、個人連絡先と組織ディレクトリという複数の情報源が関係している場合があります。組織ディレクトリ由来の項目には編集できないものもあります。CSVの取り込み後は、重複件数だけでなく、表示名、編集可否、リンク状態も確認しましょう。
CSVから取り込んだ連絡先、Microsoft 365の個人連絡先、組織ディレクトリ、名刺管理ツールやCRM、スマートフォンのアドレス帳が混在すると、重複しやすくなります。メールアドレスまたは会社名+氏名を基準に名寄せルールを決め、CSV、Outlook、CRMのどれを正本にするかを事前に明確にしてください。
PSTファイルが破損した場合、classic Outlookでは受信トレイ修復ツール(Scanpst.exe)で修復できることがあります。ただし、すべてのデータを復元できるとは限りません。重要な連絡先はPSTだけに依存せず、複数の手段で保全することをおすすめします。たとえば、連絡先の移送・確認用CSVを保管し、Microsoft 365側で同期されているかも確認しておきましょう。
連絡先が多いほど、インポート後の確認や重複整理に時間がかかります。移行前に不要な連絡先、使用していないメールアドレス、重複した人物を整理しておくと、移行後の管理が楽になります。
大量のCSVを扱う場合は、部署別、拠点別、顧客種別などでファイルを分ける方法が有効です。一度に全件を投入せず、まず少量のCSVで、文字化け、フィールド対応、組織ディレクトリとの表示、重複の有無を確認します。問題がなければ、残りを順番に取り込みましょう。日本語と海外拠点の連絡先が混在する場合も、分割して検証すると問題が起きた範囲を特定しやすくなります。
連絡先の新規登録やグループの作り方はOutlookの連絡先(アドレス帳)の作り方、Outlook全体の基本はOutlookとは?基本の使い方で解説しています。
Outlookの連絡先は、PC移行の直前だけでなく、定期的に確認・バックアップしておくと安心です。ExchangeやMicrosoft 365で同期されている場合でも、誤削除、同期トラブル、CSV編集ミス、外部ツールとの連携による重複が起こる可能性はあります。
実務では、まず連絡先がExchange/Microsoft 365で同期されているかを確認します。そのうえで、連絡先の移行・確認にはUTF-8のCSVを使い、classic Outlookに残るメールや予定表を含む旧環境の退避にはPSTを使う、という使い分けが有効です。new Outlookへの移行計画には、次の作業を含めましょう。
次の一歩として、まずは旧環境で連絡先の保存先を確認し、数件だけのCSVでテストインポートを行ってみてください。
連絡先の移行を終えた後、取引先との面談日程をメールで何度も調整している場合は、Outlookカレンダーと連携するJicooの予約ページも選択肢になります。個人向けの日程調整は、無料のIndividualプランから試せます(2026年10月時点で月額0円、Outlookカレンダー接続に対応)。サービスについてはJicooのサイトも確認できます。なお、JicooはOutlook連絡先のエクスポート・インポートを代行するものではありません。
セールスや採用などのミーティングに関する業務を効率化し生産性を高める日程調整ツール。どの日程調整ツールが良いか選択にお困りの方は、まず無料で使い始めることができサービス連携や、必要に応じたデザインや通知のカスタマイズなどの機能が十分に備わっている日程調整ツールの導入がおすすめです。


