Googleフォームには、1つの質問で複数の選択肢を選べる「チェックボックス」という質問形式があります。単一選択では把握しにくい利用状況や要望、参加可能な日時などを、該当する項目をすべて選んでもらうことで収集できます。
複数回答は、主に次のような用途で役立ちます。
一方で、複数回答はフォーム作成時の選択肢設計が重要です。似た表現や略称が混在すると、集計時に同じ内容を別の回答として扱うことになりかねません。「その他」の自由記述も、定量集計とは分けて扱う前提で設計する必要があります。また、社内向け・取引先向けのフォームでは、回答者だけでなく、回収後の回答データを誰が閲覧・編集できるかも確認しましょう。
本記事では、Googleフォームで複数回答を作る方法、チェックボックス グリッドとの違い、スプレッドシート・Excelでの集計方法、回答受付の停止と回答者アクセスの考え方まで解説します。

Googleフォームで複数回答を作るときに使う質問形式は、主に次の2種類です。
「利用したことがあるサービスをすべて選んでください」のような単純な複数選択には、通常のチェックボックスを使います。一方、チェックボックス グリッドは、複数の対象に共通の選択肢を提示したい場合に向いています。たとえば、行を日付、列を時間帯にすれば、日ごとの対応可能時間を確認できます。
ただし、グリッドは入力画面をコンパクトにできる反面、回答データの確認や後続の分析が複雑になりやすい形式です。単に複数選択を取りたいだけなら、集計しやすい通常のチェックボックスを選ぶとよいでしょう。日程、満足度、担当可否など、意味の異なる項目を同じグリッドに詰め込まないことも大切です。

質問を追加し、質問形式のメニューをクリックして[チェックボックス]を選択します。

質問文には「該当するものをすべて選択してください」「A・B・Cの中から最大3つまで選択してください」など、回答方法を具体的に記載しましょう。選択肢は、集計時にも使うラベルです。「オンライン」「Web」「WEB」のような表記ゆれや、「製品カテゴリ」と「個別製品」のような粒度の混在を避けると、後の集計がしやすくなります。
選択数を守ってもらう必要がある場合は、説明文だけに頼らず、後述する[回答の検証]を設定することが大切です。

通常のチェックボックスでは、選択肢に画像を追加することもできます。デザイン案や商品画像を見せながら、気になるものを複数選んでもらうアンケートなどに便利です。選択肢の画像アイコンをクリックし、画像をアップロードしてください。

質問を追加し、質問形式のメニューから[チェックボックス(グリッド)]を選択します。

たとえば、行を「7月15日」「7月16日」「7月17日」、列を「午前」「午後」「夕方」とすれば、日ごとに参加できる時間帯を複数選んでもらえます。チェックボックス グリッドでは、行ごとに1つ以上の回答を選択できます。
グリッドを使う際は、行と列の意味を固定しましょう。日程調整なら「行=日付、列=時間帯」のように一貫させます。1行ごとの回答ルールを回答者が理解しにくい場合や、回答結果をBIツールなどで細かく分析する場合は、通常のチェックボックスや個別設問へ分ける方法も検討してください。画像を中心に選択してもらうアンケートでは、通常のチェックボックスを使う方が運用しやすい場合があります。
「3つまで選択」「必ず2つ選択」といった条件がある場合は、必須設定だけでなく[回答の検証]を設定します。回収後に条件外の回答を確認・修正する手間を減らせます。

チェックボックスの質問右下にある[︙]をクリックし、[回答の検証]を選択します。

設定できる主な条件は次のとおりです。

[数値]に条件となる選択数を入力します。

条件に合わない回答にはエラーメッセージを表示できます。[カスタムのエラーテキスト]に「A・B・Cの中から最大3つまで選択してください」などと入力しておくと、回答者が修正しやすくなります。

チェックボックス グリッドでは、[1列につき1つの回答に制限]を設定できます。これは、同じ列の選択肢を複数の行で重複して選べないようにするルールです。通常のチェックボックスのように、質問全体で合計何個まで選べるかを設定する機能とは異なる点に注意してください。
締切を過ぎたフォームは、[回答]タブで回答の受付をオフにすると停止できます。停止後にフォームへアクセスした回答者には、回答を受け付けていない旨のメッセージが表示されます。
展示会・ウェビナーの申込、社内調査、研修参加確認など、回答期限があるフォームでは、締切日時を決めたうえで回答受付を停止する作業を運用手順に含めましょう。受付終了後の問い合わせを減らすため、停止画面のメッセージには「受付は終了しました」「お問い合わせ先はこちら」などを記載すると親切です。
人数上限に応じた停止や日時指定での自動停止など、複雑な条件にはGoogle Apps Script(GAS)や外部ツールを使う方法があります。ただし、保守や権限管理が必要になります。まずは標準機能で対応し、要件が明確な場合にだけ自動化を検討しましょう。
フォームを配布する前に、誰が回答できる設定になっているかを確認しましょう。回答者のアクセス範囲と、フォーム・回答先スプレッドシートを閲覧または編集できる人の範囲は、分けて考える必要があります。
社内アンケートでは、部署別や用途別のGoogleグループで回答対象を管理すると、異動・入退社時のメンバー更新をグループ側で反映しやすくなります。外部向けフォームでは、リンクを公開する範囲に加え、回答データを確認できる担当者、集計シートを編集できる担当者も事前に決めておきましょう。
設定項目や利用できる制御は、個人のGoogleアカウントかGoogle Workspaceか、また組織の管理ポリシーによって異なります。公開前には実際の回答者と同じ条件のアカウントでプレビューし、回答できるかどうかを確認すると安全です。
必ず回答してほしい質問には[必須]を設定します。必須にすると、その質問が未回答のままではフォームを送信できません。

質問の右下にある[必須]のスイッチをオンにしてください。複数回答で「最低1つは選んでほしい」だけなら必須設定で対応できます。「最低2つ」「3つまで」などの条件がある場合は、前述した回答の検証を併用します。

チェックボックス グリッドでは、[各行で1つの回答を必須にする]を設定できます。設定すると、1行でも未回答の行がある場合に送信できなくなります。日程調整のように回答できない日があり得る設問では、「参加不可」などの列を用意するか、この設定を使わないかを検討しましょう。
複数回答の結果はGoogleフォーム上でも確認できますが、回答を詳しく分析するならGoogleスプレッドシートへの連携が便利です。

フォーム編集画面の[回答]タブを開くと、回答のサマリーを確認できます。

通常のチェックボックスでは、選択肢ごとの回答数と割合が表示されます。チェックボックス グリッドでは、行と列の組み合わせごとに結果を確認できます。簡単な傾向を確認するには便利ですが、選択肢別の集計表を作る、他の回答項目と組み合わせて分析する、といった作業にはスプレッドシートを使うとよいでしょう。

GoogleフォームをGoogleスプレッドシートに連携すると、通常のチェックボックスの回答は、設問に対応する1列内で管理されます。複数選択された回答は、1つのセル内に区切り文字付きのテキストとして保存されます。
チェックボックス グリッドは、行に設定した項目ごとに列が分かれて保存されます。たとえば、行に「ケーキ」「アイスクリーム」を設定した場合、それぞれの行が別列として出力されます。この違いを理解したうえで、設問形式を選びましょう。
Googleフォームの回答はGoogleスプレッドシートへ自動連携できます。Excelで分析したい場合も、スプレッドシートに連携した後でExcel形式にダウンロードできます。

Googleフォームの[回答]タブを開き、[スプレッドシートにリンク]をクリックします。


新規作成時に保存場所を変更しなければ、通常はGoogleフォームと同じ場所にスプレッドシートが作成されます。

元データのシートはフォーム回答が追加され続ける場所です。直接編集せず、集計用のシートを別に作成することをおすすめします。フォーム公開後に選択肢の文言を変更すると、新旧の回答が別表記で残る可能性があります。選択肢は公開前に短く統一し、全角・半角、スペース、略称・正式名称の違いをなくしましょう。

「フォームの回答 1」とは別に集計用シートを作成します。シート下部の[+]をクリックして追加してください。

集計用シートには、フォームで使った選択肢名をそのまま入力します。ここでは、B2セルに「いちご」が入力されており、フォーム回答のB列を集計する例で説明します。

選択肢名に他の選択肢と重なる文字列が含まれない場合は、次のCOUNTIF関数で件数を数えられます。
=COUNTIF('フォームの回答 1'!$B$2:$B,"*"&B2&"*")
この式は、「フォームの回答 1」シートのB列に、B2セルの文字列を含む回答が何件あるかを数えます。範囲の列を固定しているため、式を下方向へコピーしても、参照する回答列は変わりません。
ただし、「1月」と「11月」、「営業」と「営業企画」のように選択肢の文字列が重なる場合、この方法では意図しない回答も数えてしまいます。その場合は、回答を分割してから集計する方法が安全です。

チェックボックス グリッドは、行ごとに別の列へ出力されます。そのため、各行に対応する回答列を指定してCOUNTIFで集計します。

たとえば、グリッドの「ケーキ」の回答がC列、「アイスクリーム」の回答がD列にある場合、1月を数える式は次のようになります。
ケーキの1月:
=COUNTIF('フォームの回答 1'!$C$2:$C,"*"&C$6&"*")
アイスクリームの1月:
=COUNTIF('フォームの回答 1'!$D$2:$D,"*"&C$6&"*")
横方向に式をコピーする場合は、条件にする見出しセルの行だけを固定するため、C$6のように指定します。ただし、この式も「1月」と「11月」のように選択肢名が重なる場合には不向きです。

「含む」条件のCOUNTIFは手軽ですが、文字列が重なる選択肢を正確に区別できません。たとえば「2月」を数えると、「12月」を含む回答まで数えてしまう可能性があります。
| 集計したい選択肢 | 回答データ | 単純な「含む」検索 |
| 2月 | 2月 | カウントされる |
| 2月 | 1月, 2月 | カウントされる |
| 2月 | 12月 | 誤ってカウントされる可能性がある |
正確に集計するには、複数回答を区切り文字で分割し、1選択肢ずつのデータに展開してから数えます。Googleスプレッドシートでは、SPLITでセル内の回答を分け、TOCOLやQUERYなどで1列にまとめると、COUNTIFやピボットテーブルで集計しやすくなります。
たとえば、回答が「フォームの回答 1」シートのB2:B列にあり、回答内の区切りがカンマの場合は、次の式で回答を1列に展開できます。
=QUERY(TOCOL(SPLIT('フォームの回答 1'!B2:B,","),1),"where Col1 is not null",0)
展開後の列には選択肢ごとの値が1つずつ並ぶため、通常のCOUNTIFやピボットテーブルで正確に集計しやすくなります。実際の区切り文字やカンマ後のスペースは、フォームから出力された回答データを確認して調整してください。フォームの設問を追加・変更したときは、集計式の参照列がずれていないかも確認しましょう。
なお、選択肢の文言を「1月」「11月」のように似せない、略称と正式名称を混在させない、自由記述の同義語をあらかじめ選択肢へまとめる、といった設計を最初に行うだけでも集計ミスを大きく減らせます。

Excelで集計したい場合は、スプレッドシートの[ファイル]から[ダウンロード]を選び、[Microsoft Excel(.xlsx)]をクリックします。

ダウンロード後は、Excelのフィルター、COUNTIF、ピボットテーブルなどを使って分析できます。ただし、Googleスプレッドシート固有の関数や配列数式は、Excelのバージョンによって変換後の動作が異なることがあります。ダウンロード後に数式、参照範囲、区切り文字を確認してください。

チェックボックスには[「その他」を追加]を使って、自由記述付きの選択肢を追加できます。

「その他」は想定外の意見を拾うのに役立つ一方、自由記述は表記が揺れます。たとえば「オンライン」「Web」「ウェブ」は同じ意味でも別の文字列として保存されるため、選択肢と同じように自動集計することは難しくなります。
「その他」を分析対象にするなら、回答公開後に内容を確認し、同じ意味の回答を分類・正規化する担当者とルールを決めておきましょう。頻出する記述が見つかった場合は、次回以降のフォームで正式な選択肢に追加する方法が有効です。
定量集計を優先するアンケートでは、「その他」を1つの選択肢として用意し、内容は別の記述式質問で回収する方法が扱いやすくなります。

具体的には、チェックボックスの選択肢に「その他」を直接入力し、次の設問で「その他を選んだ方は内容を記入してください」と記述式の質問を用意します。

この方法では、選択肢の件数集計と自由記述の確認を分けられます。自由記述は後から分類ルールに沿って整理しましょう。
利用しているGoogle WorkspaceやGoogle AIプランの機能によっては、Geminiを使ってフォームの質問案や選択肢のたたき台を作成できる場合があります。目的、対象者、集めたい情報を先に整理してから下書きを作ると、設問作成の時間を短縮できます。
ただし、AIが作成した質問や選択肢をそのまま公開するのは避けましょう。複数回答の設問では、特に「上位カテゴリと下位カテゴリが混ざっていないか」「同義語や略称が重複していないか」「選択数の制限が質問文と合っているか」を確認する必要があります。
選択肢は、上位カテゴリ、下位カテゴリ、自由記述を必要に応じて分け、回答者が迷わない粒度へ整えます。公開前に集計表や集計式を仮作成し、意図した単位で回答を数えられるか確認しておくと、集計段階での手戻りを防げます。
Googleフォームのチェックボックスを使えば、複数回答のアンケート、利用状況調査、日程調整フォームを作成できます。複数の対象に対して共通の選択肢を提示したい場合は、行ごとに複数回答できるチェックボックス グリッドが便利です。
集計では、通常のチェックボックス回答が1セル内の区切り付きデータとして保存される点を理解しておきましょう。選択肢名が重ならない簡単な集計であればCOUNTIFを使えますが、文字列が重なる選択肢や回答数の多いデータを扱う場合は、回答を分割・展開してからピボットテーブルなどで集計する方法が安全です。
実務では、フォームの設問を作る段階で、選択肢の表記、自由記述の扱い、集計方法、回答者の公開範囲をまとめて設計することが重要です。締切時に回答受付を停止し、回答対象とフォーム・スプレッドシートの共有権限を確認することで、Googleフォームを安全かつ効率的に運用できます。
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